世間でこれだけ将来に対する心配をされると、『自分の子供に対して、お金の教育くらいはしておかないと!』と保護者の方はお考えにならないですか?とはいうものの、自分でも「お金」の教育なんて学校の授業で受けたこともなければ、ご自身の資産形成でさえどうしていいか分からない…という方も多いことでしょう。
そこで、今回は「こどものお金の教育」について、現状と過去について振り返りながら整理をしてみたいと思います。
「お金」の教育の現状
金融先進国「アメリカ」では、小学生からレモネード売りを通してお金の勉強をするのが当たり前で、特に富裕層においては家庭(ファミリー:一族)での投資教育も欠かせません。
これだけグローバル化が進んでいるのに、いまの日本の金融教育は、ようやく昨年から高等学校での家庭科の授業で金融教育が始まったばかり、それまで小・中学校で「お金」についてほとんど何も教えずに、いきなり生徒も先生も「資産形成」という言葉が出てきたのでは、みなさん戸惑うばかりでしょう。
その昔、日本においても小学生が新聞配達をして働く「新聞少年」というのがいました。しかし、これは「お金」について学んでいたわけでなく、生活の足しに…という歴史的な背景から存在していたので、アメリカのそれとはかなり違います(日本では児童(15歳未満)の労働は原則禁止されています)。

自分たちの日常生活において、どれもこれもが「お金」を抜きにしては語れないことばかりなのに、家庭科の授業に組み入れられている理由は家計管理の観点という狭い範囲に留まっているからでしょう。本来、「お金」とは経済と密接な関係があり、その経済のなかで生きているモノだとも言えます。だからこそ、広い視野で「お金」を正しく学ぶことが必要かつ重要なのです。
いままではどうしてたのだろう?
いまでこそSNSを介して、投資成果だけでなくお金の収支を公表したりする方もいらっしゃいますが、以前は、人前でお金についての話をすると「あの人は卑しい」と言われたりしたものです。だから、「お金の教育」なんてことすら考えたこともありませんでした。とはいえ、「お金」について習っていなかったのに、これまで皆さんが何とかなっていたのはなぜでしょう?
1980年代までは、労働環境はいまと比べて“はるかに”過酷だったものの、戦後復興から高度経済成長、安定成長を通じて経済規模を拡大させていたことで、生活水準も物価上昇より実質的な賃金の上昇が上回っていました。それが、購買力の高まりから消費を刺激することで経済成長に寄与していました。このような社会情勢を背景に、金利水準も現在よりもはるかに高かったわけです。要は、収入に問題なく預貯金金利も高いということで、無理にリスク資産に投資をしなくても、何とかなるというような状況だったわけです。

さらに、収入がなくなる老後についても退職金制度や年金制度、社会保険制度の充実、「マル優(少額貯蓄非課税制度)」「特別マル優(少額公債非課税制度)」など、なにかと手厚い状況だったので『特に不安なことがないのに、お金の話をするなんて卑しいに違いない…』という発想になるのはなんとなくわかるでしょう。
しかし、残念ながら現在は『自助努力』をしなければいけないという状況になってしまいました。
~その2につづく