世間でこれだけ将来に対する心配をされると、『自分の子供に対して、お金の教育くらいはしておかないと!』と保護者の方はお考えにならないですか?とはいうものの、自分でも「お金」の教育なんて学校の授業で受けたこともなければ、ご自身の資産形成でさえどうしていいか分からない…という方も多いことでしょう。
そこで、今回は「こどものお金の教育」について、子育ての経験から書いてみたいと思います。
子育て経験から感じる「お金」教育の重要性
国語/算数(数学)/理科/社会/英語など学校で習う教科についてはどれも小・中学校の下地があって、それを時間をかけながら順を追って学習するからこそ理解できるのだと思います(それでも、高校あたりから苦労しましたが…)。一方、「お金」については、いきなり「さぁ、始めましょう!」と言われても、どれだけ身につけられるのだろうかと思ってしまいます。
昨今ブームとなっている中学受験ですが、首都圏模試センターの推定による今春2022年度の首都圏中学入試の「私立・国立中学校の受験者総数」は、前年より1,500名増加の「52,600名(前年比102.9%)」、受験率は「17.86%」と、いずれも過去最多・最高となっています。
この中学受験において「お金」に関する問題なんてないだろうと思っていませんか?そして出るとしたら「算数(“割合”や“つるかめ算”など)」だろうとお思いでしょう。確かに割合などでお金の問題は出ますが、実は「社会」の問題でも出ていて、例えば、首都圏にある御三家といわれる中学校の問題では、単に円高・円安というものでなく、中央銀行(日本でいうところの日本銀行)の役割やキャッシュレス化がもたらした影響という内容でした。

買い物に付き合わせて、お金のやり取りをみせるというのもお金の教育のひとつだと思います。でも、もっと広い視野を持って普段から「お金」に対して意識をしていれば、単にお金のやり取りということだけでなく、モノの値段に敏感に反応できるでしょうし、なぜそうなるのだろうということにも意識がいきます。これは、進学塾のような机上で学ぶことで身につくようなものではないことは、イメージとしてご理解いただけるのではないでしょうか?
私の子供は中学受験経験者ですが、先述の入試問題については簡単に解けていました。私の子供は、塾ではごく普通の成績でしたし、私自身も金融知識を特別に教え込んだことはありません。ただ、普段から何気ない「お金」の会話をしていたことで、朝晩は自分でTVの「ニュース」を見てましたし、そのおかげで「こども新聞」を購読しなくても大丈夫でした。
また、買い物に行っても子供なりにいろいろ疑問に思うこともあったようで、いろいろと質問もされました。それが、受験の時には、理科の「気候や植物」に繋がったり、社会の「地理(産地)」に繋がったりしていました。
これって、「お小遣い帳を付けて管理しましょう」「将来に向けて投資もしくは投資家マインドを作りましょう」「株価チャートを読めるようになりましょう」のいずれとも違いますよね。子供の金融教育として保護者の方が求めているのは、どれでしょうか?少なくとも私は、小遣い帳をつけることでなく、投資家マインドを持つことでもなく、投資スキルを学ぶことでもないと思っているので、自分と子供が一緒にやってきたことが間違っていなかったと思っています。
これをご覧になっている保護者の方はいかがでしょうか?
教える側は成功者でなければいけないのか?
たまに、“教える側である私たちが成功者ではないのですが…”というご質問いただきます。私は、成功者でなければいけないとはまったく思っていません。そもそも成功者ってなんでしょうか?
お金を殖やすことについて成功しても人生が豊かでなければ、それはあなたが望んでいる“子供になってもらいたい成功者”とは言えないのではないのでしょうか?だから自分が思っている成功や失敗とは別に、あなたがいま持っている知識や人生経験だけも教えることはできます。ただ、あなたに教えたいという意識がなければ、結局、あなたがお金について習わなかったのと何ら変わりがないことになってしまいます。
要は、教える側も教わる側もまずは意識をしないことには、始まらないということです。
ちなみに、そういう私自身も成功者だとは思っていません。そもそも、自分の成功体験が子供にとっても成功体験につながるか分かりませんし、いろいろ失敗した経験であっても子供にとっては役に立つことだっていっぱいあると思います。
お金のことそのものをいまは教えられなくても、自分の経験を踏まえ意識を持って話をすることで子供の可能性を広げてあげることにつながるだけでなく、それが結果的にお金にも困らない人物につながると思っています。ただ「お金」のことだけを学んだだけでは、何も生まれないと考えます。
私もまだまだ子育て世代ですが、皆さんと一緒にいろいろと考えていきたいと思います。
~その3につづく