TikTok および YouTubeショートにて、毎日14時頃、その日の注目銘柄を増田足で確認する「どうなる?〇〇シリーズ」を配信中!

初めての投資信託に「S&P500」と「オルカン」のどちらを選択すべきか?

 

 『初めて投資信託を購入しようと思います。まずはインデックスファンドを購入しようと思っています。YouTubeやTwitterでよくS&P500(米国株式)インデックスとオールカントリーインデックスを勧めているのを見ますが、どちらを購入すべきでしょうか?または、それ以外におすすめのインデックスファンドがあれば教えて下さい。』という質問がありました。いろいろな考え方があると思いますが、「ア/ン/ス/タ」的解答をするならばそれは『好みの問題!』です。

「好みの問題!」だけど…

『好みの問題!』とは言いましたが、“初めて投資信託を購入しようとしている方”なので、「S&P500(米国株式)インデックス」と「オールカントリーインデックス」を使って、長期投資での資産形成を前提にしたファンド選定に必要な考え方を説明してみたいと思います。

一般的なファンド選定では、まず投資対象が何になっているかを把握して同じグループにします。その後、グループ内で信託報酬や信託財産留保額などのコスト面、1年や3年といった過去のリスク・リターン水準、純資産総額(残高)や償還期限、そしてインデックス運用の上手い・下手を評価するβ(ベータ)値などから見極めていきます。

まず投資対象からこの2つの違いを確認すると、「S&P500」は米国株式100%、「オールカントリー(通称:オルカン)」だと米国株式の比率は約6割で残りは先進国と新興国の株式に投資されます。次にグループごとに…と進めるのではなく、そもそもこの2つでいいのかということを少し考えてみましょう。

ここでは、いまのあなたの潜在的な考え方に問うて選択する方法で考えてみたいと思います。

リターンの側面から

まず、リターンだけを考えてみてください。ここでは話を単純化するために、米国株式とその他株式の2つで考えます。

いまあなたは、「米国株式」と「その他株式」のどちらリターンが良いと考えていますか?
ここで「米国株式」というのならば「米国株式(S&P500)」推しなわけです。それ以外の場合なら米国株式だけでなく収益機会の分散を考えたいと深層心理では思っているので「オールカントリー」を選べばよいかと考えます。

少し難しい話をしますが「米国株式」と「その他株式」の2つしかない場合、2つに分散した時のリターンは(借入等をしない限りは)必ずその2つの間のリターンにしかなりません。だから「米国株式」が最もリターンが高くなると思うのであれば、リターンの観点からは分散することでリターンを下げてしまうということになります。一方、米国株式よりもその他株式のほうが上昇すると思うのであれば、米国株式だけで保有するよりは分散しておいた方がリターンがよくなるということになります。

リスクの側面から

とはいえ、預貯金の利率と異なり、ファンドは値動きがあるのでリスクを気にする必要があります。
ファンドの月次運用報告書(月次レポート)に記載されている「リスク」とは、1年間に(期待)リターン±○%の範囲に収まる確率が約7割だというものです。例えば、期待リターン:10%、リスク:15%の場合は、1年間で-5%~+25%の間のリターンになる確率が約7割だということになります。

そこで「7割の確率とはいえ、最悪の場合には年間で-○%という状況に自分のメンタルが耐えられるか?」と考えてみます。先のリターンの側面から「米国株式」を選んだ方はリターンの観点では米国が良いと思っていても、リスク面も含めて考えてみたら、ちょっと無理かも…となる方もいるでしょう。その場合は、米国株式と動きが異なる資産を組み入れればよいわけです。世の中にまったく同じ値動きをし続けるモノは存在しないので、どんな分散を行ったとしても少なからずともリスク低減効果はあります。だから、米国株式のリスクをみて耐えられないと思うならば、リターンを少し諦めて、自分が耐えられるリスクの水準まで分散することを選択したほうがよいということになります。

そのほかの選択肢の存在

さて、リスクも考慮した投資という面では、「S&P500(米国株式)インデックス」より「オールカントリーインデックス」のほうが投資対象地域が増えている分、分散が効いています。しかし、「S&P500(米国株式)インデックス」であっても「オールカントリーインデックス」であっても、どちらも外国株式には変わりありません。だから、もっと異なる値動きを組み合わせることでリスクを下げたいのであれば、海外株式だけでなく国内株式、さらには債券やREITと投資対象資産の選択肢を広げた方がよいでしょう。なぜならば、選択肢が広がることで値動きが違うものを組み合わせることができるからです。

以前は4資産分散(国内株式/国内債券/海外株式/海外債券)が主流でしたが、いまならば国内外の株式、債券、REITの6資産分散のようです。

投資メンタルと意思決定プロセスの重要性

以上の方法で考えることにより、単に表面上の数字だけでファンドを選んだのではなく、自分の潜在的な考えを把握し、それを数字でも補完して導き出した結果になるので、自分が自信をもって投資をすることができるでしょう。その上で、コスト面や過去のパフォーマンス、純資産総額などから投資信託を選択していけばよいのです。

今回のように最初から「S&P500」「オルカン」の2択しかなく、それをコスト面やリターン、純資産総額などの数値だけで決めてしまうことはあまり良い方法とは言えません。なぜならば、自分の潜在的な考えを無視して投資先を決定したことで、下落時における投資メンタルが耐えられなくなる可能性が高くなるからです。
先ほど、リターンが7割の確率でリスクの範囲に収まるという話をしましたが、言い換えるならば、残り1割5分(3割の半分)の確率で、想定以上のマイナスリターンになることもあるということです。そのような局面において、自分の投資を継続するための信念を補強するのが、決定プロセスにおける“自分の意思を反映させること”だと思います。これは、行動ファイナンスにおける「自信過剰のバイアス」や「後悔回避のバイアス」の有効活用だと考えます。

長期での資産形成する際のポイント

リスクの観点から投資をしたのであれば、購入時は分散投資をしているので正しい投資戦略だと思います。一方、運用中のリスクの観点とはどういうことをすればよいのでしょうか?SNSなどでもあまり重要視していませんが、実は長期投資においては非常に重要な行動とはリバランスをすることです。ここでは詳しい説明を省きますが、何しろ自分でリバランスを行うのは意外と面倒なことが多いのです。

ここまでのことを踏まえて長期投資による資産形成においてファンドを選択するならば、バランス型ファンド購入が最良の選択肢の一つだと考えます。だったら「ファンドラップやロボアドバイザーならばどうか?」という質問もありそうですが、いまの金利水準や商品性などから考えると、バランス型ファンドで十分だと思います。