いよいよ新NISAスタートが近くなってきました。「つみたて投資枠」については、以前からの「つみたてNISA」の流れから、みなさんも漠然とした投資戦略は決まっていることでしょう。一方、「成長投資枠」については、積立投資の様に考えるべきなのか、それとも別なものとして考えるべきなのか、いろいろ悩んでいるのではないでしょうか?
以前からお伝えしている通り、私は長期国際分散投資の推奨者です。少額でも長期投資を続けていくことで、最も確度が高く誰もが資産形成ができる方法だと信じているからです。たまに、そういう考えの私に「短期投資は全く考えていないのですか?」という質問を受けることがあります。今回は、これについて少し話をしてみたいと思います。
長期投資の考え方のおさらい
まずは私がいつも唱えている「長期での資産形成の考え方」についておさらいしましょう。そもそも、長期間かけて資産形成する考え方ですが、“いまお金が無いなかでどうやって資産を作るのか?”が大前提です。だから、少額でも積立投資をすることで、時間をかけて“理にかなった”運用を続ければ、誰でも資産形成ができるはずというものです。
さて、長期間投資を続けるからには途中で止めてはいけません。途中で止める理由として「収入が無くなって投資に回すお金が無くなった…」というイレギュラーなことを除けば、その殆どは「投資した資産が大きく下げてしまった…」というもので、要は“投資メンタル”の問題です。

私の考えでは、誰もがすぐに投資メンタルは強くならない(もしかしたら、いつまでたっても強くならない)なので、「強くなったら投資を始める!」はありえません。時間をかけて投資するために最も時間を長く得る方法は、“いますぐに投資を始めること”だからです。マーケットタイミングもそうですが、自分そのものの完成度?を考えるくらいならば、投資メンタルに影響しないような“理にかなった投資をすべきだ”ということになります。
だから、ファンドを活用して国際分散投資をしましょうと伝えていて、保守的とまでは言いませんが過度なリスクを取らない投資スタイルで挑みましょうと伝えています。
※ここから先は短期投資の話になりますが、長期投資と違い、ある程度のタネ銭(最低100万円程度)がある状態だと思ってください。
基本的な考え方は短期投資でも一緒
さて、そんな私がなんでも長期でしか投資をしないかといえば、そういうわけではありません。ただ、状況に応じて考え方を劇的に変えるほど器用ではありません(どちらかといえば、不器用かと…)。「行動ファイナンス理論」のセミナーでもお話していますが、“ヒトの癖は変えられない”のです。
先述の長期投資の考え方のベースは「現代ポートフォリオ理論」になります。これ“だけ”が私の「経典」ならば、私も常に合理的な行動をしなくてはなりませんが、実際のところ、ヒトの癖には逆らえず、なかなかそうはいきません(というか、そこまで合わせる気もないですが…)。ただ、自分のクセを理解したうえで、長期投資で考えている投資スタンスを短期投資に持ち込むとどういう方法を取るのが合理的?ではないかと考えています。
前提1:プロにはかなわない…
もしも、私に銘柄選定ができる自信があるならば、わざわざファンドは使いません。そして、長期投資の推奨もしないでしょう。私は投資凡人なので、長期投資での資産形成をベースにしています。長期投資での銘柄選定になると、チャート分析(テクニカル分析)ではなくファンダメンタル分析一択です。そのファンダメンタル分析を行うにあたり「プロを負かすだけの情報量や分析を自分ではできない」と考えています。だから、銘柄選択をプロに任せる“ファンド”を選択します。
これをベースに考えると、短期であろうと長期であろうとファンダメンタル分析ではプロには勝てないと私は思っています。一方、チャート分析の場合ならば調査力やデータ量といったことを必要としないことから、短期投資での基本はチャート分析に頼るという判断になります。

前提2:商品と自分の限界を知っている
ファンド信奉者である私の場合、個別銘柄のリスクを取ることに抵抗があります。ここでの“リスク”とはいろいろありますが、極論、潰れるという“リスク”を避けたいのです。
そして、そもそもファンドは銘柄分散しているので、個別銘柄投資であるような“テンバガー(株価が10倍以上になるような銘柄)”なんてことはレバレッジのかかったファンドでもまずありません(それも短期でなんて…)。
短期投資というだけあって、売買する時間は短くなります。よって、個別銘柄投資でも収益的には、(短期間でストップ高を繰り返すような上昇をすることもないとは言えませんが)基本的にはある程度の収益を積み重ねていくことになります。そして、それなりに利益を積み上げるためには、投資を続けることが必要なのです。

もし、短期での収益欲しさにファンドを諦めて個別銘柄に手を出すといった自分のスタイルを曲げて投資をすると、少しでも下落しようものならば、私のメンタルのほうが持ちません。なぜならば、自分の考えにそぐわないことは、疑心暗鬼になり続けられないので。
結局、個別銘柄投資ができない(まったくやらないとは違います)ならばファンドでは難しいので、それに類似した方法を活用するしかありません。そこで、銘柄分散が効いているインデックスを使い、投資金額に対するリターンを増やすためにレバレッジを活用する“日経225先物ミニ”ということになります。ここでは詳しく説明しませんが、短期投資という時間制約があるなか、収益機会を広げるにあたり“日経225先物ミニ”を活用するメリットは大きいのです。
前提3:固執はしないが、居続ける
長期投資の場合、相場に居続けるのには論理的にそういう理由があるからです。一方で短期投資の場合は、トレンドに正しく乗ることが重要です。だから、トレンドを読み間違ったと判断したらすぐさま間違ったことを止めて、正しいと思われるトレンドに乗り直せばいいのです。ただ闇雲に乗り直すのではなく、チャート分析をベースにしているならば、勢い(出来高)は重要です。
とはいえ、チャートから売買判断することも容易ではなく、更にはヒトの癖によっていろいろなことに振り回されてしまいます。だから、私の場合は、売買ルールをはじめに決めて、それに従って淡々と売買をやり続けられる方法が最適と思っています。このことは投資メンタルが強くない人にとっては非常に大事なのですが、そういう方に限って、ルールの順守(どころがルールを策定していない方もいらっしゃいますが…)どうも軽んじている方が多いようです。これも「行動ファイナンス」を知っていれば、かなり考え方が変わると思います。

最後に
結局のところ、短期だろうが長期だろうが、自分の性格や考え方を理解したうえで投資スタンスを決めることが重要なのです。そして、その整理こそ途中で止めることなく投資を続けることに繋がるわけです。
投資を続けるにあたり、iDeCoのような“仕組みとして止められない”という制度を利用する方法もありますが、これはこれで人生という長い時間の中で、すぐにお金が必要なことが発生しても(お金はあるのに)対応できないという事態になってしまいます。
やはり、自己管理をすることこそ、資産形成の近道なのだと思います。
