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100円硬貨から「選択」について考える

 

100円硬貨は100円硬貨だけど…

 2024年7月前半を目途に現行刷られている4種類の日本銀行券のうち、一万円札、五千円札、千円札が新デザインで発行されます。最近では概ね20年に1回のペースで新紙幣の発行が行われ、その都度、デザインを変更したり偽造防止技術の導入を行っています(一応補足ですが、新デザインになったからといって現行使われているお札が使えなくなるということはありませんので、こういう詐欺にご家族が合わないようにしましょう)。
 ところで、硬貨の方はコロナ禍の令和3年(2021年)に500円硬貨が新しくなりましたが、それ以外はどうでしょうか?実は、500円硬貨以外のデザイン変更になると、いまから50年以上前の昭和42年(1967年)に100円硬貨と50円硬貨が変更されたのが最後です。

 さて、昭和42年製造の100円硬貨は現在は幾らとして使用できますか?「馬鹿にしてるの?」とお𠮟りを受けそうですが、当然100円として使用できるだけで、通常通貨であれば額面より高い価値は望めません(他年度より発行枚数が少なかった年度の硬貨、状態のよい完全未使用品硬貨、何かしらのエラーがある硬貨などは、コインショップなどに持っていくと多少価値が上がるモノがあるかもしれませんけど)。一方、昭和42年から令和4年の現在に至るまでモノの値段はなんと3.9倍(消費者物価指数:持家の帰属家賃を除く総合)にもなっています。
 わかりやすく言えば、昭和42年の100円硬貨は現在でも100円の価値しかありませんが、昭和42年に100円で買えたモノは現在だと390円支払わないと買えなくなっている…ということです。これは「モノ」を基準にして考えた場合、「お金」の額面ではなく“価値”が100円だったのに、現在ではわずか26円程度になってしまった…ということです。

 ここまでの話はご理解いただけたと思います。しかし、紙幣や硬貨に限らず預金通帳など「金額」でみていると、残念ながら額面や投資総額から減るようなことがなければ気にならない(というか、気付かない)ため、よくよく後から考えてみるとビックリしてしまうようなことがあるのです。

「何もしない!」という選択の危うさ

 金利が高い状況というか物価上昇よりも高い金利であれば、お金の“価値”は目減りすることはありません。ところが現状は、定期預金に10年間預けてもほぼ利金はなく、一方で様々な理由を背景にモノの値段は確実に上昇しています。
 一般的にモノの値段は「好景気時には雇用改善による賃金増加に伴い物価が上昇していく」とされており、この状態を「インフレーション(インフレ)」といいます。しかし、好景気でなくてもモノの値段が上昇していくこともあります。上左図に1980年から2022年のインフレ率の推移がありますが、常にインフレだったわけではないものの、この42年間にモノの値段は約1.3倍になっています。先ほど、モノの値段は「様々な理由を背景に…」と書きましたが、グローバル化した現在、最近のニュースを思い返せば日本の景況感だけでは説明できないのはイメージできるでしょう。この背景を解き明かすことよりも今回知ってもらいたいことは、1980年の100円硬貨は、2022年でもやはり100円硬貨でしかないということです。
 個別商品の値段の比較が一番わかりやすいので、小麦やバターなどの値段を比較していますが、同じ量であればモノの値段は上がっていて、その上昇幅もマチマチだということです。

最後に

 「投資をしない!」はお金について何もしていないのではなく「投資をしない!」という“選択”をしていることを認識することが重要です。そう考えると「選択」をするために、何も学ばないとか、すべてを人任せでOK!ということにはならないのではないでしょうか。だから、「選択」するための最低限の知識は身につけたほうがよいのです。

 ちなみに「選択」と似た言葉で「決断」というのがあります。「選択」とは目的のものを一つまたは複数選ぶことで、「決断」は「悩んで迷ったすえに決める」行為になります。あえて「決断」と使わなかったのは、“悩んで迷う”ということなく「知識を裏付けとして選べる」くらいにはなってもらいたいという願いがあるからです。